企業調査のやり方とは?調査方法や調査項目について解説

2025/08/21

企業調査のやり方とは?調査方法や調査項目について解説

新規取引や出資、M&Aといった重要な経営判断を行う際、企業調査によって取引先が信用できる企業なのか、信頼性やリスクを見極めることは大変重要です。

本記事では企業調査の基本的なやり方について、流れや調査方法、調査項目について解説しています。さらに、精度の高い企業調査を実現するポイントや、自社で実施する場合のリスクと注意点、調査会社に依頼するメリットについてもご紹介しています。

企業調査の実施を検討されている方は、ぜひ参考にご覧ください。

企業調査とは?目的と重要性

新規取引や業務提携、M&A、資本投入、増資などの重要な経営判断をする際、取引によって自社のブランドイメージや信用が大きく損なわれないように、取引先や提携先などの企業に対して、その実態を把握し、信頼性やリスクの有無を判断する必要があります。

これらの一連した調査は「企業調査」と呼ばれ、特に金融機関や監査法人、大企業、上場企業においては、株主・マーケットへの説明責任のためにも、必要不可欠な業務のひとつとなっています。

近年、大手企業の不祥事が相次いで報道される中、社会全体でコンプライアンスへの意識が一層高まっており、企業調査は大企業に限らず、スタートアップや中小企業においても、リスク管理の一環として取り組むケースが増えてきています。

企業調査を実施するタイミング

企業調査は、新規取引や業務提携など企業と新たな関係を結ぶ時だけでなく、IPO準備や監査対応時、既存取引先に変化や懸念が出てきた時、外部から気になる話が入ってきた時などにも行います。

なお、重大な取引の可否判断を行う際の企業調査は「デューデリジェンス(DD)」と呼ばれ、相手先の実態像を把握するため、反社との関係も含めた詳細な情報の収集、ネガティブ情報の真偽の解明などを調査します。

与信調査・信用調査との違いは?

企業調査は「与信調査」や「信用調査」と呼ばれることもありますが、企業調査はこのような資力調査や支払い能力も含めた広義な意味を持っており、総合的なレピュテーションを調べることを意味します。

なお、「レピュテーション」とは企業に対する社会的な評判や風評を指す言葉で、ネガティブな噂によって企業の価値や信用が低下したり、ブランドが毀損したりするリスクをレピュテーションリスクといいます。

企業調査のやり方|流れや調査方法

企業調査のやり方|流れや調査方法

次に、企業調査のやり方について、一般的な流れや調査方法をご紹介します(調査会社や調査目的によっては、この限りではありません)。

①目的と調査対象の決定

企業調査を進める際、まずは調査の目的を明確にし、「どの企業をどこまで調べるか」を決定します。必要に応じて、企業だけでなく代表者や経営陣、株主などの調査も含めます。

②社内にある情報の収集

調査内容と調査対象が決まれば、過去の取引履歴や契約書など、すでに社内にある情報を改めて確認・整理します。現時点で分かっていることと、外部から補うべき情報を明確にすることで、作業にかかるコストが削減でき、より深い調査が可能となります。

③調査会社に相談

企業調査はさまざまなリスクがあるため、第三者である調査会社に依頼する流れが一般的です。

企業調査の目的や内容がある程度決定した段階で見積りを請求し、調査会社を決定していきます。私たちトクチョーの場合、打ち合わせで調査内容を決定後、見積りを提示させていただいております。

④調査会社にてさらなる情報の収集

次に、社内でまとめた情報をもとに、依頼をした調査会社が相手企業の登記簿謄本や財務諸表、決算書、信用情報、風評、インターネット上の口コミ、SNSなど、社外からの情報を可能な限り収集します。

必要に応じて、現地に訪問したり、関係者に取材したりと、より踏み込んだ手法も活用します。

⑤情報の分析・評価

集めた情報をもとに、経営の安定性、コンプライアンス体制、業績・財務の健全性、反社会的勢力との関係の有無、外部評価と内部実態のギャップなどを評価します。

例えば経営の安定性については、長期的に安定した売上・利益を確保しているか、収益源が特定の顧客や業種に偏っていないか、新規事業や投資の方針が現実的かなどを確認します。

また、反社会的勢力との関係については、役員や株主の背景に暴力団や過激派などとの関係がないか、過去に取引先と契約解除された履歴がないか、不自然な法人設立でないか、反社チェックに該当がないか、といった方法で評価を行います。

最後に、これらの調査で得た結果をレポート形式でまとめたものが調査会社から報告書として提出されます。

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企業調査の「内部調査」と「外部調査」について

一般的に、企業調査は「内部調査」と「外部調査」の2つに分けられます。

内部調査とは、過去の契約書や請求書、社内でのやりとり、営業担当者からの情報など、社内にすでにあるデータをもとに行う調査を指します。

一方の外部調査は、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの有料レポート、公開されている決算情報、インターネット上のサイト・SNS、競合企業からの評判など、社外から入手した情報をもとに行う調査を指します。

しかし、実際のところ「内部」と「外部」の捉え方は曖昧です。例えば、調査会社が提供する有料のデータベースを使って情報を集めたとしても、それらの情報を自社のスタッフが調べたりまとめたりしている場合、どこからが外部の調査で、どこまでが内部の調査か、その線引きはとても難しいものです。

実務上は、情報源によって内部・外部を厳密に区別するのではなく、調査業務にかかるリソースの観点から見る必要があり、社内で入手された情報が多ければ多いほど、調査会社ではより深い調査が可能になります。

企業調査の主な評価項目一覧

調査の目的や方法によって評価項目は異なりますが、以下に一般的なチェックポイントを一覧でご紹介します。

評価項目 内容の例
基本情報 沿革、登記、財務状況、訴訟歴など
事業内容 主力商品・サービス、市場動向、競合比較など
組織体制 役員構成、従業員数、社風・文化、内部統制など
コンプライアンス 反社チェック、個人情報保護、情報セキュリティ体制など
外部評価 信用調査会社の格付け、SNS・Webでの評判など
取引実績 過去のトラブル、契約解除履歴、支払い遅延など
特定人物 経営者・主要株主の経歴、反社との関係有無など

関連記事:リスク回避から積極活用まで!取引に必須の不動産登記の見方【保存版】

関連記事:絶対に反社チェックが必要な5つの理由とチェック方法

企業調査を行う際のリスクと注意点

企業調査を行う際のリスクと注意点

企業調査はトラブルが発生する可能性が高いため、調査会社を利用せずに自社のリソースだけで実施することはあまりおすすめしておりません。自社だけで調査を行うとどのようなリスクがあるのか、またどのような点に注意すべきなのかについてご紹介します。

関係企業との信頼関係が悪化する可能性

不適切な調査や、不用意な接触が調査対象の企業に伝わった場合、相手企業との関係悪化を招く恐れがあります。特に現地訪問や取材による調査では、相手に不快感を与えないための慎重な対応が求められます。

個人情報や守秘義務の違反リスク

調査対象が個人を含む場合、個人情報保護法や不正競争防止法などの法規制に違反する可能性があります。そのため、法律に基づいた手段・範囲での情報収集を徹底しなければなりません。

情報の信頼性

Web上の口コミやSNSの情報には、誤情報や悪意のある投稿が含まれているケースもあります。真偽を検証せずに判断すると、誤った評価や判断ミスにつながる可能性があるため、鵜呑みにしないように注意が必要です。

不適切な調査手法による法的トラブル

非合法な手段を用いた調査は違法です。例えば尾行についてですが、尾行そのものは違法行為ではないものの、やり方によっては、ストーカー規制法や迷惑防止条例、軽犯罪法に抵触する可能性があります。

公安委員会から許可を得た探偵業者は、これらの法律に抵触しない範囲で調査を実施していますので、個人の判断で無理な調査は実施せず、プロに依頼するのが安全だと言えます。

関連記事:あらゆる不正、不祥事から会社を守るための尾行調査の使い方

企業調査を調査会社に依頼するメリット

企業調査は自社のリソースだけで対応することも可能ですが、慣れない調査を独自のやり方で進めると、上記で説明した通り、法に違反したり、相手企業との関係性が悪化したりと、さまざまなリスクが伴います。

その点、調査会社に依頼すれば法に則って調査してくれることはもちろん、自社の先入観や思い込みに捉われず公平で客観的な評価が得られますし、公開情報だけではわからない部分まで踏み込んだ深い調査が可能になります。

実際、社内で確認した限りでは発見できなかった問題が発覚し、リスクのある取引を未然に防ぐことができたという事例がたくさん存在します。

精度の高い企業調査を実現するポイント

精度の高い企業調査を実現するには、既存の資料や情報を活用することがポイントとなります。過去の取引履歴や社内で得た評判、やりとりの記録など、事前に判明している情報を整理し、漏れなく調査会社に提供しましょう。

例えば私たちトクチョーの場合、文献調査に加えて、取材での調査も実施します。そのため、取材先が多い方が充実した調査報告書の作成につながりますし、すでに判明している情報を共有いただくことで、重複した調査が避けられ、結果的に費用の削減にもつながります。

企業調査で取引リスクを未然に防ごう

企業調査は大企業だけでのものと思われがちですが、社会全体でコンプライアンス意識が高まっている現在、中小企業やスタートアップにも求められるものとなっています。また、リスク回避のための手段であると同時に、関係企業と持続的な信頼関係を築くための第一歩でもあります。

トクチョーでは、調査業界での長年の実績と蓄積したノウハウをもとに、丁寧かつ確実な企業調査をお手伝いしております。調査項目をお伝えいただければ、ワンストップ対応での調査も可能です。お困りごとやご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

総合調査会社トクチョーで「価値ある情報」を

株式会社トクチョーは、60年以上続く総合調査会社です。豊富な経験と、長年の実績で培った調査力で、上場企業から中小企業・スタートアップまで、幅広くお客様のご要望にお応えしてまいります。

  • ・反社会的勢力対策
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  • ・WEB風評被害対策
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「こういう点を深掘りしてほしい」といった細かなご要望や、弁護士や外部専門家が関与するケースにも柔軟に対応できます。インターネットのみで完結する簡易的な調査ではなく、取材などからより深い情報収集が可能ですので、フォームまたはお電話にて、お気軽にご相談ください。

ビジネスでの調査なら総合調査のトクチョーへ

1965年創業の信頼と実績。
総合調査会社として、企業経営やビジネスでの意思決定に必要な、データベースからは得られない情報をお届けしています。

状況に応じた 多面的な調査により、取引先や競合企業についてより充実した理解のためにご利用いただけます。

また、 労務管理にまつわる社員の調査、クレーマーや不審人物の素性調査等もお気軽にご相談ください。

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