あらゆる不正、不祥事から会社を守るための尾行調査の使い方

2024/03/12

尾行調査

掲載日:2019/05/29 更新日:2024/03/12

どのような規模、業種の法人でも不正や不祥事が起こる可能性があります。法人における不正、不祥事問題の解決に「尾行調査」は重要な役割を担っています。具体的には社員・役員による「嘘の報告」「不祥事・不正」「服務違反」「職務怠慢」「情報漏えい」「背任行為」などにおいて、労務管理上のアクションのための裏付けを取るために主に利用されています。あなたの会社でもこのような問題が生じた時は、尾行調査の利用を検討しなければならない時がくるかもしれません。
本記事では尾行調査(行動調査)を法人が検討し、利用する際の流れや注意すべきポイントを解説します。先々急に必要となった際の備えとしてお役立ていただければ幸いです。

1. 企業が尾行調査(行動調査)を必要とするわけ

例えば、ある社員の「嘘の営業報告」が社員の間で噂として広がってしまったとします。これを会社が何の確認もせずに放置した場合どんなことが起こるのか?モチベーション低下や職務怠慢への同調が起きてしまうことは容易に想像できます。こうした状況にさせないためには、尾行調査を利用して事態をしっかり確認し、問題の解決をしなければなりません。

 
1-1. 企業が尾行調査を使うケース

実際にどんなケースで尾行調査が使われるのか、当社での実例をもとにご紹介します。

上の図は、当社が2022年9月~2023年8月の期間において実施した尾行調査の内訳です。
内容は多岐にわたりますが、法人からのご依頼では、現職社員・労務関連、及び退職社員 (役員含む) に関する調査が多く全案件の半数を占めます。
具体的には、以下のような調査があります。

退職者の転職先、競合他社との接触
退職に不審な点があり、転職先がライバル企業であったなら、重要な営業情報や機密情報がライバル企業へ流出する恐れが生じてしまいます。こうした場合、転職先のできるだけ早い特定が求められます。

二重就労
就業規則に副業禁止の規定があり、ある社員に副業の疑いがあれば、その事実を掴んでおかなければ戒告などのアクションを取ることができません。コロナ禍になってからこの類の調査が増え直近のケースでは、詐病により休業手当を受給した挙げ句、副業に勤しむという強者がいました。

経費の不正
通勤経路・手段を偽った交通費詐取、出張費・交際費と称した私的流用など、放置をすれば巨額の横領事件に発展し刑事告発をしなければならないかもしれません。

社員のサボタージュ
新型コロナウィルスの影響で、多くの企業で在宅勤務や直行直帰が主流となり、社員の労務管理が課題となっています。在宅勤務中に私用な外出や副業をしていたり、ルートセールスをしている営業マンが、顧客に行かずパチンコをしていたら、裏を取ってしっかり指導をしなければなりません。この類の調査もコロナ禍では増加傾向です。

なお、“経費不正”を行っている人物は、②や④、もしくはその両方にも該当するケースが多く見受けられます。
転職以外の数々の疑惑の背景は、おおむね「金銭」や「素行」に関係するものです。こうした問題を「見ザル」「聞かザル」「言わザル」と安易に看過すると、疑念をもっている側の社員はモチベーションが低下し、経営側に対する不満に発展する可能性が高まります。またその反対に、そのような行為を「真似しても大丈夫」「上層部の目は甘い」という社員が出現し、病巣が大きくなるケースを招く恐れもあります。

次に、男女の不適切関係の調査が多く法人・個人問わずご依頼があります。新型コロナウィルスの自粛ムードはさも知らず、例年通りの件数でした。
その他にも、競合対策や転売ルート解明、ストーカー・クレーマー対策など様々な問題の解決に、尾行調査は切り札として役に立っているのです。(2024/03/12更新)

 
1-2. 尾行調査が問題解決に役に立つ理由

内部通報や社内外からの噂だけで不祥事・不正の対象者を詰問するようなことをすれば、シラを切られ、知らぬ存ぜぬを押し通されるのが落ちです。
逆に、「あらぬ疑いを掛けられた」と反撃に出られてしまうこともあるかもしれません。
こうした疑念を解明するためには、事前に決定的な証拠・確証を得ておく必要があるのです。

そして、依頼者が懸念する「疑念」は、対象者の行動を監視する尾行調査によって「やっぱり」となる傾向が強く、杞憂に終わるケースは少数です。
証言・書類、データからは迫れない確たる証拠を得るためには尾行調査は欠かせないものなのです。
企業防衛の観点からみて企業でも尾行調査を利用しなければならない事情があるのです。

 
2. 尾行調査の利用の流れ

外部の機関に依頼をするとなれば、調査会社選び⇒事前準備⇒打合せ⇒実施⇒報告といったプロセスを経ることになります。この章ではこの各プロセスを順を追ってご説明します。
 

2-1. 調査会社の選定

「調査したい」と思った時、最も悩むのが「調査会社の選定」だと思います。
相談する内容は社内の不正問題などセンシティブなことのため、それを明かすとなると、明かす先の信用が気になります。「尾行調査」というキーワードでインターネットの検索をすると、多くの調査会社が出て来ます。しかし、HP上で書かれているPR文句と、信用は比例するのか?どうでしょうか
その答えを知るには、以下のような項目をチェックすることをお奨めします。

① 法人格があり、一定の規模を有して事業の継続性がある会社
② 法律に定められた探偵業の届け出がある会社(コラム参照
③ 弁護士協同組合の特約店であるなど、弁護士から一定の信任を得ている会社
④ 依頼者への見積書の提出・契約の締結を取り引きの前提としている

そして、「信用できそうな調査会社」と判断できるなら、そこの営業マンの名刺は案件が発生しなくとも捨てずに保管しておきましょう。
無いことが最善ですが、万一相談したい案件が発生した場合に、備えておくことも必要です。
相談内容の重さを考えると、「信用」を寄せられる調査会社を知っておくことが賢明です。

 
2-2. 事前準備(打ち合わせ・情報共有・協力体制)

尾行調査の費用は決して安価なものではありません。人による情報収集である“ヒューミント”の最たる調査作業で簡単な作業でもありません。このため、有用な成果を得るためには、依頼者・調査会社が充分な打ち合わせをして、実施方法を一緒に検討する必要があります。周到な事前準備が調査の成否を大きく分けることになります。

打ち合わせを入念にすることによって、情報不足、不備、問題点などを整理することができ、調査の手順が決まっていきます。実際の現場は、映画やドラマで描かれるような世界ではなく、とても地味で地道な業務なのです。調査を円滑に遂行するためには、調査対象者に関する業務上の特徴・傾向、私生活における情報を収集・整理しておくことが望まれます。氏名、年齢、写真だけでは、調査が失敗に終わる可能性も高くなります。不要ではないかと思えるような対象者の周辺情報が、時には調査中の判断材料として現場では重要になる場面があります。失敗なく調査を進めるには、依頼者との二人三脚に近い情報共有と協力体制とが必要不可欠なのです。

例えば、調査対象者の顔写真が入社時の履歴書程度しかない場合、現在の対象者の顔や姿を確認できるか否かは調査の成否を分ける要素の一つです。対象者をオフィスから連れ出して調査員に確認させる、その日の服装や持ち物を事前に連絡する、現場で撮影された画像で対象者であることを確認する、など作業面での協力も必要になってきます。

 
2-3. 調査中の対応

いざ調査開始となるとアクションの主体は調査会社に移ります。しかし、依頼者の尾行調査への取り組みが終了となるわけではありません。
例えば、監視の起点 (監視を始める場所) がオフィスの場合、対象者が会社を出るタイミングを張り込んでいる調査員に連絡したり、当日の服装・持ち物を知らせたりする必要のある場合があります。また、当初想定していた行動予定が急遽変更されれば、調査員に連絡しなければ、調査が徒労に終わってしまう可能性が高くなります。いざ調査が始まっても協力体制の継続は大切なのです。

また、依頼の窓口を務める人は、調査実施期間中は常に連絡を受けられるようにしておくべきです。
尾行調査は当初の想定通りに事が運ばないことが多いです。想定外の事象が発生した場合、現場の調査員では調査を続行すべきか中止すべきかなど、依頼者の判断をあおぐべきことが度々起こります。現場からの緊急の相談を受けられるように待機しておくことが望ましいのです。

また、秘密裏に進めるべきものが尾行調査であり、調査期間中に「有用情報」が得られた場合でも、その「有用情報」を調査の途中に対象者に告げてしまうことは絶対にしてはいけません。調査を察知した対象者への調査は続行不能となり、そこで完全終焉となってしまいます。

 
2-4. 調査報告

尾行調査の成果物である調査レポートは統一された書式はなく、調査会社によって様々ですが、写真と時系列に沿ったレポートで構成されるのが一般的です。
調査期間によってレポートのボリュームも変わり、長期間に及ぶ場合はテキストのみの簡易な時系列の報告が日々速報される場合もあります。

期待する結果が得られた場合でも、調査報告書を対象者に対して安易に突き付けるように見せることは避けてください。調べて裏を取ったことを暗に示唆することで、対象者自ら白状させることを促す材料として使ってください。開示(見せる)することがあるとすれば、不当解雇で提訴された場合や、労働基準監督署に駆け込まれるといった状況になって、確たる証拠を示さなければならない場合のみと考えておかれた方が良いでしょう。いずれにしても顧問弁護士とよく相談をした上で細心の注意をもって取り扱うべきです。

 

【コラム】「探偵業法とは」

尾行調査は探偵業法に定められた調査のひとつであり、法に則り管轄の警察に届け出た業者でなければ実施できない調査です。

かつて探偵業法が成立するまで、日本には調査業を規制する法律はなく、調査依頼者とのトラブルなどが発生し消費生活センターへの相談も多くありました。このような状況のなか、調査業のうち探偵業についての「探偵業の業務の適正化に関する法律」が平成19年6月に施行されたものです。この法律を略して「探偵業法」と称しています。

探偵業法はその業務の適正化を図り、個人・法人の権利利益の保護に資することを目的としています。「探偵業務とは他人の依頼を受けて特定の人物の所在や行動についての情報を収集するために聞込み、尾行、張込みなどの方法で実地調査をし、その結果を依頼者に報告すること」と定義されています。(一般的にこのような調査を調査会社では「所在調査」「尾行・行動調査」と称しています)
また、探偵業者には依頼者との契約締結、重要事項の説明などが厳格に義務付けられています。

その他、探偵業者には警察の立入検査があり、探偵業法に違反した業者について営業の停止・廃止を命令することができます。罰則も設けられており、警察及び公安委員会のホームページにおいて行政処分の公表もなされています。

令和4年中における探偵業法届出業者は6970件、うち個人業者数は5099件、法人は1871件の業者が届け出ており、その中での新規の届出数は767件、廃止届出数は473件となっています。ここ数年の業者数は増加傾向です。(2024/03/12情報更新)
 

3. 準備・実施に際する注意事項

調査対象者への露見を防ぎ、調査を成功に導くための注意事項がいくつかありますので以下にご説明します。

 
3-1. 調査計画・実行はごく限られた人で

社員の不正や怠慢にかかわる調査を依頼、発注する部署としては総務、人事系の部署となることが多いですが、ここで肝要なことは依頼内容を共有する人間は最小限に留めることです。事情を知る人間が多ければ多いほど、どこからか話(調査)が漏れ、対象者が察知してしまう恐れがあります。

 
3-2. 懸念事項の事前ヒアリングは厳禁

対象者の懸念問題を対象者自身に「問い質す」ことは絶対に避けましょう。核心に触れる言葉は使わなくとも、それに類する言動は、相手の警戒心を本能的に覚醒させてしまうからです。不正や後ろめたい行為を働く人はそれを隠そうとする習性があるのが人間です。このため、事前に「問い質す」ようなことをしたら、調査を実施しても、本来取るであろう行動をせず、何も得られず調査が徒労に終わってしまうこともあります。言葉は不適切かも知れませんが、「泳がしておく」という姿勢が賢明です。

 
3-3. 対象者周辺への聞き取り調査も極力避けたい

尾行調査前に周辺への聞き取りなど調査を先行して行うこともお勧めできません。なぜなら万一対象者に事前調査をしていることが察知された際には前項と同様、尾行そのものが困難になることがあるからです。対象者が警戒することは想像に難くありません。

 
4. まとめ

企業の営みにおいて、人の問題は避けて通れません。組織が大きくなり人数が多くなれば風通しが悪くなり色々なことが見えにくくなります。そうした状況に不祥・不正・業務怠慢などの労務問題が発生する温床が生まれるのです。
もちろん起こさないに越したことはありませんが、程度や頻度の差こそあれ、こうした問題の発生は完全に防ぐことはできないでしょう。いざという時に「どうすればいいんだ!」となっては問題解決できないどころか、事態を拡大させかねません。
「転ばぬ先の杖」として尾行調査の使い方をしっかりマスターしておきましょう。

実際の調査事例をご覧になりたい方はこちら ⇒ 尾行調査事例集

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