尾行調査事例②-ネガティブ情報を抱える役員の出張を尾行

2024/04/22

≪依頼背景≫

今回の尾行調査の対象は、全国展開する大手企業の取締役営業部長のBで、今年で58歳となる。
日中、各支店の視察と称して外出し、直帰することもしばしばで、一体、何をやっているのか?
本当に視察だけか?の実態を探るのが依頼の目的だ。

内部情報では、自宅から程近い川崎支店の女性スタッフがお気に入りで、同支店の視察が多いという。
数年前、その女性との不貞が明るみに出たが、解消したとのことで不問に処したとの事。

クライアントは創業者である80歳の社長。息子が次期社長に内定しているが、
ネガティブな風評のある役員部長Bのリスクを事前に摘み取るためのエビデンスを求めている。
クライアントの窓口は、専務取締役。
我々は、クライアントの会社近くの喫茶店で専務と会い、部長Bの情報を聴取する。

Bのスケジュールは、明後日の水曜日から鹿児島出張、帰京は3日後の土曜日である。
是非とも、鹿児島での動きが知りたいと言うことで、出発当日川崎の自宅班 (2名) と鹿児島待機班 (2名) に分かれて調査態勢に入る。
クライアントの提供情報により、便名や宿泊先ホテル、鹿児島での使用車両等は把握している。
土曜日に帰京予定であるが次の日が日曜日なので、個人的に一泊延長する可能性もあるとのこと。

       

◇ 鹿児島編 ◇

≪調査1日目≫

7時
Bが単身小型のキャリーバックにて自宅を出る。
迎車タクシーを予想したが、意外にもキャリーバックを引きながら、最寄り駅へと歩いていく。
その後はどうやら空港までバスのようだ。
調査員1名もバスに乗り込み、車両に乗った調査員もバスを追尾する。
バスは羽田空港に到着し、Bは出発ロビーへ向かう。
車両班はこれにて任務終了だ。 

尾行調査-3
尾行調査-3

Bはラウンジ方向に歩いていく。
こちらは急いで手荷物検査をパスしてゲートを潜り、ラウンジ及び搭乗口付近を探索すると、Bは一般待合席にて朝刊を読んでいる。
鹿児島待機班に連絡し、予定通り搭乗予定である旨を告げる。
当該便の搭乗案内アナウンスが流れ、Bは機内へ向かう。

キャリーバックは機内持ち込みか
となると、降りてからすぐ出てしまう。
唯一空いていたこちらの席はやや後方
降機の際に離されるのは必至だ。
 

とりあえず搭乗し、先程撮りたてのBの画像をスマホで鹿児島班に送信し、機内モードに変更する。

当該便が鹿児島に到着。到着した旨を鹿児島班に連絡し、イヤホンを装着する。

当初の予想通り、降機ではBから引き離されてしまった。
気を揉みながらまもなく到着ロビーという段になっても鹿児島待機班はBを視認していない様子。

トイレか?
とりあえず引き返して最寄りのトイレへするとハンカチで手を拭きながらBが出てくる。

Bは到着ロビーを出てタクシー乗り場で順番待ち。
対象はタクシーに乗った。緑の5791(No.)だ。

鹿児島待機班の車両に滑り込み、追尾開始。宿泊先ホテルに向かっているようだ。
残念なことに、急なため同じホテルは満室で予約が取れない。
まだ時間が早いから、荷物を置くだけか?

しばらくしてタクシーは、ホテル近くのコンビニで停車し、Bを落とし走り去る。
弁当を購入して、Bはホテルにチェックイン。エレベーターは12階で止まる。

そこまでの経過をクライアント窓口の専務に報告する。
女性が来るかもしれないから、ホテルに入る女性全部撮影してくれとの指示。
ヒントとなる情報が無いか確認も、いるとしたら鹿児島支店の社員かもしれないと。
ホテルに入る女性を片っ端から撮るしかないが、なかなか撮影には厳しい立地で裏口もある。
小規模なビジネスホテルのため、ロビーは狭くて待機はムリ。その後、5名の出入り女性を撮影。

14時
そろそろ鹿児島支社で会議の時間だ。対象は出てくるはず。

あれ、この車?情報のプリウスだ。
我々の前方に、事前情報をもらっていた車両が若い運転手により停車する。

「プリウス来たぞー、こっち戻って!」
立ち張りしているホテル裏口監視班に連絡を入れる。

まもなく、エレベーターから単身開襟シャツ姿のBが現れ、ホテルを出る。
若い運転手は下車し、深々とBに頭を垂れると、最寄り駅方面へ歩き去っていく。

何?わざわざクルマを渡しに来たんだ、彼は
Bも駅まで送ってやればいいのに。駅までなら結構歩くよね。
Bに送られるより、歩いた方が気楽なのかも

プリウス、発進。支店方面へ。

支店の駐車場に停まり、下車して出勤する。

17時過ぎ
B運転のプリウス、発進。

17時30分
真っ直ぐホテル、プリウスはホテル駐車場に。出入りする女性を全部撮るご指示はまだ続行だ

23時
初日の調査、解除となる。何もなかった

 

≪調査2日目≫

10時
Bのプリウス発進!
その後は支店管轄の各店舗を周り視察の様子。

13時
ホテルへ戻る。こちらは女性の出入り撮影。

16時
Bがエレベーターから出て来る。
30歳代後半の上品そうな女性と一緒に2人は会話も会釈もなく離れ、ホテルを出る。
歩行速度の状況からBが先行する。多分エレベーターが一緒だっただけか
Bはプリウスには乗らず、大通りを横断して直進する様子だ!
女性は大通りに差し掛かると左折して駅方面へ淡々と歩いて行く。

「とりあえず、自分は女性を追ってみる。Bをヨロシク!」
Bはどんどん歩いていく。

女性はというと大通りをハザード上げて止まっているBMWを見つけると駆け寄り、
助手席に乗車する。運転手は同じ歳くらいのガングロ男性。やっぱり関係なさそうだ。

Bは未だ真っ直ぐ歩いていて大きなパチンコ屋の辺りにさしかかる。

「了解! 今行く!」
やや駆け足で向かうとしばらくして

「車!黒いワーゲンがやってくる!急いで!」
未だ誰か来るのを待ってる感じだ。

「了解、もうすぐ着く!」
何とかワーゲンの発進前に合流。
まもなく、最後の1人が合流し、計4名がワーゲンにて鹿児島市街へと出発する。

尾行調査-4
尾行調査-4

んー、この時間で4人麻雀やるんじゃないか?
未だ就業時間内だ。服務違反の証拠になるのか?

まもなくワーゲンは、鹿児島市外れの小さな雀荘の駐車場に停車、そろって店に入って行く。

23時
クライアント専務より、もう女性と会うことはないだろうとの判断で、調査解除となる。

 

≪調査3日目≫

専務より、昨夜は深夜3時迄雀荘にいたらしいとの情報から、
12時に当日の会食予定である焼肉店にてBを待ち受ける。

あっ、専務だ。今日の会食は専務も同席するとは聞いていた。
なにキョロキョロしてるんだ?うちらが来てるか探してるんじゃない
あっ、スマホ出したこちらのスマホが鳴る!

「あっ、○○君?、来てる?」
「はい、専務さんが黄色いポロシャツ着て電話してるのが見えてますよ
「えっ?何処?これ何してる?」
「背中掻いてますね
「凄い流石プロだね!、あそこのコインパーキング分かる?」
「はい!」
「Bは多分、そこに車停めるよ!さっき電話した時、そこに停める様に伝えたから
 ちょっと遅れるかもって言ってた宜しく!」

現場にはこういった協力者は必要だが、あまり動かれすぎては危ない危ない。

まもなく、Bがプリウスで現れ、予定通り会食が始まる。
その後、会食が終わりBは各管轄店舗を視察した後、鹿児島支店へ

18時
途中、コンビニで弁当を購入し、ホテルへ戻る。
24時迄ホテルへ出入りする女性を撮影し、調査解除となる。
当初は、これを以って本件は終了であったが、川崎に帰宅する迄も実施せよと指示される。
 

≪調査4日目≫

10時20分
もうすぐ、チェックアウトの時間。
あれ?彼はこの前プリウスを持って来た若い社員だ。土曜日までこき使われるんだ

まもなく、スーツ姿のBがチェックアウトの後、ホテルを出る。
若い社員はBからプリウスのキーを受け取り運転席へ、Bはキャリーバッグを後部席へ積むと、
助手席に乗車する。

尾行調査-5
尾行調査-5

プリウス、鹿児島空港に到着する。車両班は、レンタカー返却のためお役御免だ。
Bは空港内の売店にて、煎餅や孫のものと思われるキャラクター文具を購入し、一般ゲートより搭乗口へ。

その後、羽田空港に到着したBは、往路と同じくバスで川崎の自宅最寄り駅へ移動、徒歩にて帰途に着いた。途中、接触者は認められない。

22時
その後の外出もなく、調査終了を迎えた。

後日、鹿児島のホテルに出入りした三十数名の女性達の画像に、該当するような人物はいないとのことである。

鹿児島編において、Bのマイナス情報は就業時間内の麻雀行為だけに終わった。
しかし、この程度の材料では退任に追い込むことはできないとのことであった。
我々の奮闘空しく、鹿児島の調査は空振りに終わった。
社長はこの結果に満足せず、次に控えている群馬出張時も調査するよう指示を受けたと専務から告げられる。

◇ 群馬編 ◇

鹿児島から戻った5日後、我々はクライアントの高崎支店付近に車を停め、待機している。
同社駐車場にはBの所有車である白いハリアーが停められており、自宅の川崎から車で来た様子。
まもなく、Bが出席している会議が終了する時間だ。

11時
会議が終了したらしく、支店内に動きがある。まもなく、Bが出てハリアーに乗車、支店を出る。

当日のBの予定は、終日群馬地区の管轄店舗周りとのこと。
クライアントは、女性と会うかギャンブルに行くのではと睨んでいる。
予定通り、1件目の店舗に入る。ちゃんとマジメに動いている。女なんて居るのだろうか?

12時30分
大型パチンコ店の駐車場に停車する。おっ、パチンコ打つのか!

予想は外れて、Bは隣のコンビニで弁当を買い、車中で食事。
食後もパチンコは打たず、発進して前橋方面へ
その後、市街地を抜けて利根川沿いの道を北上する。

「あれ、こっちの方に店舗はないでしょ!先には何がある?」

尾行調査-6
尾行調査-6

えーっと、競輪場がありますね、前橋競輪!前橋競輪
それだ!

その後、ハリアーは道に慣れた様子で回り込みながら競輪場駐車場へ入る。

13時40分
Bはハリアーを降り、競輪場へ入る。
右耳には赤ペンがセットされている。
すぐさま無料配布の出走表を取り、流れ作業の如く車券に記入を始める。

ギャンブル慣れしている

トラックに出てレースを観戦!金網を掴み大声でゲキを飛ばす!豹変している

レースが終わると、大きなガッツポーズ!笑みを堪えるように自動払戻機で精算
本人の背後に周り、表示されている換金額を撮影する。3万7千円だ!勝ったみたいだ。

その後、数レースを掛け、場内場外合わせていくら勝ったのか
ニコニコしながら競輪場を出て宿泊先ホテルへ戻ったのであった。

競輪しに出張に来たのか
Bの2度の就業時間内ギャンブル行為を確認し、本件は終了となった。

※本記事は事実を基にしていますが、登場する人物・団体・名称等は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。守秘義務のため、依頼者や調査対象者が特定できないように、事件の詳細は設定を変更しています。

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