コンプライアンス対策の中身は?具体的な取り組み方や違反事例などを解説

2026/04/06

コンプライアンス対策の中身は?具体的な取り組み方や違反事例などを解説

近年、企業の不祥事がSNSやメディアを通じて瞬時に拡散されるようになり、コンプライアンス対策の重要性が高まっています。

しかし、いざ対策を講じようとしても「具体的にどの領域から手をつけるべきか」「制度を作っても現場に浸透しない」といった悩みは、多くの企業が直面している共通の課題です。

コンプライアンス対策を形だけのものにせず、組織の文化として根付かせるためには、場当たり的な対応ではなく、中長期的な取り組みが必要です。

本記事では、そもそもコンプライアンス対策がなぜ必要なのか、コンプライアンス違反が企業に与えるリスクや違反事例、そしてコンプライアンス対策の具体的な取り組みについて詳しく解説します。

自社のガバナンス強化やリスクマネジメントの指針として、ぜひお役立てください。

コンプライアンス対策が必要な理由と背景

企業がコンプライアンス対策に取り組む目的は、法令遵守にとどまらず、企業の社会的責任(CSR)を果たし、社会的な信頼を維持・向上させることも含まれます。

具体的な違反事例としては、個人情報の漏洩、不正会計・粉飾決算、パワハラやセクハラなどのハラスメント、助成金の不正受給、反社会的勢力の関与、長時間労働、サービス残業などがあげられます。

なぜ企業はコンプライアンス対策を講じる必要があるのか、コンプライアンス違反が企業に与えるリスクや、コンプライアンス違反が発生する組織の風潮について見ていきましょう。

コンプライアンス違反が企業に与えるリスク

コンプライアンス違反が企業に与える影響は、経済的・法的な損失、社会的信用の失墜、そして組織の弱体化と、企業そのものの存続を揺るがすほどの大きなダメージとなり得ます。

法令違反や契約違反が発生すると、損害賠償や違約金、リコール費用などの支払いに加えて、業務停止や免許取消しといった行政処分、さらには刑事罰を科される恐れがあります。

また、報道やSNSでの拡散によって不祥事が公になることで、ブランドイメージが崩壊し、顧客離れや取引停止を招く他、採用活動においても大きな障壁となります。一度失った信頼を回復するのは容易ではなく、倒産に追い込まれるケースも実際にあります。

加えて、従業員のモチベーションが低下したり、優秀な人材が離職したりと、組織が内部から崩壊していくリスクにも注意が必要です。

コンプライアンス違反が発生する組織の風潮

コンプライアンス違反は個人の問題だと思われがちですが、実際は組織の構造に問題があるケースが多いとも言われています。その背景にあるのが「機会・動機・正当化」の3つで、この3要素は「不正のトライアングル」と呼ばれています。

【不正のトライアングル】
機会:不正ができてしまう環境がある
動機:不正せざるを得ないプレッシャーがある
正当化:不正の理由を正当化する

例えば、「結果さえ出せばプロセスは問わない」という過度な成果至上主義が当たり前に存在している組織は、機会・動機・正当化の3要素が揃いやすく、不正が誘発されやすい環境だといえるでしょう。直近では、大手保険会社や自動車販売会社の事例もあります。

コンプライアンス対策においては、個人の意識向上だけでなく、仕組みによってこの不正のトライアングルを排除し、不祥事を未然に防ぐ組織づくりが求められます。

特定の個人に権限を集中させない、あるいは客観的な外部調査を定期的に取り入れることで、不正の「機会」を物理的に無くす仕組みづくりが有効となります。

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【チェック項目】領域別のコンプライアンス対策

【チェック項目】領域別のコンプライアンス対策

コンプライアンス対策は、法律を守ることはもちろん、社会的な期待に応えるため、幅広い範囲をカバーする必要があります。

対策すべき領域は大きく分けて以下の3つが対象となり、これら3つの領域は「コンプライアンスの基本領域」として捉えられています。

【コンプライアンスの基本領域】
1. 法令
2. 社内規程・就業規則
3. 社会規範・企業倫理

なかでも最重要項目は、国が定める法令・政令・地方自治体の条例などの遵守です。労働基準法や個人情報保護法、下請法・取適法をはじめ、宅建業法や建設業法など業種ごとの法令も含まれます。

そして、企業が自ら定めた就業規則や倫理規程、業務マニュアルなどの社内ルールを守ることもコンプライアンス対策に含まれます。社員一人ひとりが自社のルールを理解し、行動しなければなりません。

また近年で特に重要視されているのが、社会規範や企業倫理への対応です。法律に明文化されていなくても、社会人として守るべき道徳やモラルに反する行為は、厳しく批判される対象となります。

実務でチェックすべき具体的なコンプライアンス対策項目

具体的にどのようなリスクに対して対策を講じるべきか、主要な項目は以下の通りです。

具体的な領域 チェック項目
労務管理・ハラスメント 従業員が安全かつ健全に働ける環境が整っているか(労働時間、ハラスメント対策、相談窓口機能等)
業務プロセス・社内規程 日々の業務の中に不正やミスが入り込む隙がないか(マニュアルの更新、属人化の解消等)
情報管理・知的財産 企業が持つ重要資産を適切に保護できているか(個人情報の保護、情報セキュリティ等)
取引・社会規範 外部の関係者と公正かつ倫理的な行動ができているか(反社会的勢力との遮断、実態不明な企業との取引排除等)
組織体制・教育 コンプライアンス意識を定着させるための土台があるか(基本指針の策定、継続的な教育、内部監査の実施等)

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コンプライアンス対策で優先すべき項目

コンプライアンス対策の範囲は広く、すべてを一度に行うのは難しいのが実情です。

まずは、緊急性の高い法令に関わる項目から優先的に取り組み、組織への浸透を促すことで、中長期的な効果を狙うと良いでしょう。

具体的な優先項目としては、以下の3点があげられます。

【コンプライアンス対策で優先すべき項目】
①:リスク洗い出しとマニュアル整備
②:基本方針と行動基準の策定
③:管理監督体制の強化

対策①:リスク洗い出しとマニュアル整備

現場の業務に法令違反や無理が生じていないか、従業員へのヒアリングを通じてリスクを可視化し、最新の状況に合わせたマニュアルを作成します。

また、マニュアルがいつでも参照できるように、平易な言葉でまとめた冊子や電子データを配布したり、ポスターを掲示したりと、作成しただけで終わらないように、日常的な意識付けをしていきましょう。

さらに、自社に潜むリスクだけでなく、取引先が健全であるかを精査することも、リスクマネジメントの最優先事項です。取引先の調査については専門性が高いため、一般的には調査会社を活用します。

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対策②:基本方針と行動基準の策定

企業としての姿勢を示すコンプライアンスの基本方針を明確にし、残業時間のルールや、ハラスメント禁止規定、接待の基準など、判断に迷いがちなシーンについて、その基準となる行動指針を作成・公表します。

自社の抱える問題は何か、ルールに違反した行為に対してはどのような処罰があるのかを明確に定め、全従業員に周知します。

対策③:管理監督体制の強化

各業務における承認権限を明確にし、事後承認や不正な押印ができない仕組みを構築していきます。

また、「特定の担当者しか内容を把握していない」というような不透明な状況をなくし、管理監督が徹底される仕組みも目指していきます。

コンプライアンス対策を組織に根付かせる取り組み

コンプライアンス対策を組織に根付かせる取り組み

コンプライアンスの基盤をまとめても、組織に浸透せず、形骸化してしまっては意味がありません。コンプライアンス対策が企業文化として根付くためには、継続的なコンプライアンス教育と、問題が発生した際に機能する体制が必要です。

具体的に、組織にコンプライアンスを定着させるための5つの取り組みを見ていきましょう。

【コンプライアンス対策を組織に根付かせる取り組み】
①:コンプライアンス委員会の設置
②:定期的なコンプライアンス研修の実施
③:内部通報窓口・相談窓口の設置
④:内部監査と評価制度の整備
⑤:風通しの良いコミュニケーションの活性化

取り組み①:コンプライアンス委員会の設置

現行の法令において、コンプライアンス委員会の設置を直接義務付けるものはありません。

しかし、大会社には会社法で「内部統制システムの構築」が義務付けられており、また従業員数301人以上の企業には公益通報者保護法によって「内部通報窓口の整備」が義務付けられています。実務上、これらの業務の中核を担う専門組織は、企業運営において必要不可欠な機能といえます。

中小企業の場合は、必ずしも委員会という形をとる必要はなく、法務部や総務部が兼任するケースが一般的です。ただし、組織の規模を問わず、コンプライアンスに関する最終的な責任者や実務チームを明確に配置しておくことが、対策を形骸化させないための第一歩となります。

取り組み②:定期的なコンプライアンス研修の実施

全社員を対象に、法令や社会規範、社内ルールの研修を定期的に実施します。

教育のポイントは、経営層・管理職なら組織ガバナンスやリスクマネジメントの視点を、一般社員なら業務に直結する法令やハラスメント防止の知識習得を重要視するなど、対象者の階層に応じた内容に最適化することです。

具体的な研修方法としては、業種に応じたeラーニングを活用するのが効率的です。また、実際の不祥事事例を用いたケーススタディを取り入れることで、従業員が自分ごととして捉えられるようになります。

特にハラスメントなどは、個人の主観による認識のズレが原因となるケースが少なくありません。そのため、職場全体で正しい知識を共有し、風化させないための継続的なアプローチが重要です。

取り組み③:内部通報窓口・相談窓口の設置

2022年6月に施行された改正公益通報者保護法により、常時使用する従業員が301人以上の事業者は、内部通報に適切に対応するための窓口設置(ホットライン/ヘルプライン)や体制整備が義務化されました。

また、パワハラ防止法(労働施策総合推進法)への対応に加え、近年では顧客からの過度な要求や迷惑行為から従業員を守るための相談体制整備も、企業の安全配慮義務の観点から強く求められています。

不正やトラブルを早期に発見・自浄できる相談窓口の存在は、組織の健全性を維持する要となります。窓口を設置して終わりとならないよう、窓口の存在を周知し続けることも大切です。

取り組み④:内部監査と評価制度の整備

コンプライアンス対策が実際にどの程度浸透しているか、定期的な内部監査や意識調査を通じて客観的に測定します。

そして、人事評価制度の見直しについても、あわせて検討すべき課題です。数値目標の達成のみを過度に重視する評価体系は、不正を誘発する動機になりかねません。結果だけでなくプロセスの妥当性を評価する仕組みを導入し、誠実な業務遂行が報われる土壌を整える必要があります。

また、万が一違反が発覚した際には、就業規則に基づき公平かつ厳正に対処することを周知しておくことも、強い抑止力として機能します。

取り組み⑤:風通しの良いコミュニケーションの活性化

組織の閉鎖性は、不正や隠蔽を招く温床となります。コンプライアンス対策における最大の防御策は、上司と部下が本音で対話できる心理的安全性の高い職場を作ることです。

日頃から風通しの良いコミュニケーションを活性化させることで、現場の違和感が迅速に報告され、問題の早期改善につながっていきます。

コンプライアンス対策は継続的な改善が必要

コンプライアンス対策は、一度仕組みを作れば完了というものではありません。

「計画(Plan)→実施(Do)→監査(Check)→改善(Act)」のPDCAサイクルを回し、法改正や社会情勢の変化、自社の事業内容に合わせて常にアップデートし続ける必要があります。

そして何より、形骸化を防ぐために最も大切なのは、経営層自らが「コンプライアンスを経営の最優先事項とする」という姿勢を、繰り返し社内外に発信し続けることです。

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