コンプライアンスチェックシートとは?目的と対象別チェック項目
2026/07/27

企業の不祥事や反社会的勢力との関わり、採用トラブルなどがSNSやメディアを通じて瞬時に拡散される昨今、取引先や従業員に対するコンプライアンスチェックは、重要なリスク管理の一環です。
しかし、いざ自社でチェック体制を整備・運用するとなると、『何をどこまで確認すればよいのか』『社内調査だけで本当に十分なのか』といった疑問や、実務上の課題に直面する担当者は少なくないかと思います。
本記事では、コンプライアンスチェックシートの目的と、私たち総合調査会社のトクチョーが専門とする「取引先チェック」「採用・人事チェック」についての具体的なチェック項目をご紹介します。さらに、実務でのよくある課題や注意点、外部調査との使い分けについても詳しく解説します。
ぜひ、コンプライアンスチェックシートの作成・活用にお役立てください。
目次
コンプライアンスチェックシートとは
まずは、コンプライアンスチェックシートの目的と、チェックが求められる対象・タイミング、そして調査する領域・内容について整理していきましょう。
チェックシートの目的
コンプライアンスチェックとは、取引先や自社の従業員が法令や社会規範を遵守しているか、反社会的勢力との接点がないかを確認する調査のことです。
「法律を破っていないか」を確認するだけでなく、企業倫理やモラル、社会的な信用を損なうリスクがないかを多面的に評価します。
そして、企業がコンプライアンスチェックを重視すべき理由は、大きく分けて3つあります。
▼コンプライアンスチェックが必要な3つの理由
- ・社会的信用の維持
- ・法的リスクの回避
- ・内部不正の防止
特にSNSで情報が瞬時に拡散される現代では、些細な懸念点も軽視できないのが実情です。
いつ・誰を対象に活用するのか?
コンプライアンスチェックシートの主な対象は以下の通りです。
▼コンプライアンスチェックシートの主な対象
- ・新規・既存の取引先
- ・M&Aの対象企業・投資先
- ・自社の役員・従業員(外部委託先を含む)
- ・採用候補者
実施タイミングとしては、取引開始前・採用前・M&A前・IPO準備といった重要な局面のほかにも、契約更新時など定期的な実施が理想です。
何について調査するのか?
調査内容は、反社会的勢力との関係性や犯罪歴、不祥事、破産歴、訴訟歴、SNSでの不適切な発言など多岐にわたります。
企業に対しては、行政処分や粉飾決算、労務トラブル、ハラスメントなども対象となります。
また、コンプライアンスが求められる主な領域は以下の表の通りです。
【コンプライアンスチェックが必要な主な領域】
| コンプライアンスの領域 | 主な対象・内容 |
|---|---|
| ビジネス・取引 | 新規取引先・M&A・増資対象 等 |
| 採用・人事 | 採用候補者・役員・幹部候補 等 |
| 労務管理・ハラスメント対策 | 残業・有給・ハラスメント禁止規定 等 |
| 情報管理・セキュリティ | 個人情報保護法・情報漏洩対策 等 |
| 財務・税務 | 不正会計・インサイダー防止 等 |
| 組織体制・内部統制 | 内部通報制度・監査体制 等 |
本記事では上記のうち、「取引先・反社チェック」と「採用・人事」の2領域について詳しく解説していきます。
【取引先調査】コンプライアンスチェックシートの項目

取引先に対するコンプライアンスチェックは、自社での一次調査と外部調査機関による調査の2段階で進めるのが基本です。それぞれの具体的な確認項目と、自社調査では見つからなかった事例について見ていきましょう。
自社でできる一次調査の項目
自社内でのコンプライアンスチェックは、主に公開情報を活用したスクリーニング(選別)が中心となります。既存の取引先に対しては、営業担当や経理担当から社内での評判・取引履歴・支払い履歴といった情報も取得しましょう。
| 調査方法/チェック項目 | ||
|---|---|---|
| ① | 公的データベース 登記簿謄本・官報等の公的記録の照合 法人の実在性・役員構成・設立経緯などの把握 |
|
| ② | Webスクリーニング 「社名(氏名)+不正」「+訴訟」「+反社」といったネガティブワードを検索 事件・訴訟・反社関係・行政処分などの把握 |
|
| ③ | 新聞・雑誌記事データベース 過去の記事を横断検索できる有料サービスを活用 ネット上から削除された過去の不祥事・報道履歴などの把握 |
|
| ④ | SNS・口コミ SNSや口コミサイトの発信状況を調査 炎上リスク・公序良俗に反する挙動の有無などの把握 |
|
| ⑤ | 社内情報(既存取引先) 営業担当・経理担当へのヒアリング 社内での評判・取引履歴・支払い履歴などの把握 |
|
また、調査とは少し逸れますが、新規契約時における防衛策として、契約書に「反社会的勢力排除条項」を導入することも有効です。この条項の提示に対する相手の反応自体が、チェック指標の一つにもなります。
関連記事:取引先の会社が「反社(反社会的勢力)」に関与しているか調べる方法は?チェックの必要性とリスクも
外部調査機関が確認する項目(トクチョーの場合)
自社での一次調査で得た情報をもとに、より深い精査や客観的な評価が必要な場合や、IPO準備・M&A準備などの重要な局面では、外部の調査機関に依頼するのが一般的です。
トクチョーがご提供する「取引先・提携先に関する調査サービス」としては、以下の項目に対応しています。
| 調査項目 | ||
|---|---|---|
| ① | 企業信用調査 対象法人の経営状況・営業状況の調査 |
|
| ② | 企業精査・実態解明調査 関係企業・対象者周辺への聞き込み(取材)による企業実態・経営概況・評判・トラブル/ネガティブ情報の抽出 |
|
| ③ | 代表者バックグラウンド調査 経歴・周辺関係者からの評価・評判・トラブル情報の抽出 |
|
| ④ | 反社会的勢力調査 関係企業等・対象者周辺への聞き込みによる反社との関係性調査 独自情報との照会・官公庁情報・各種メディア情報による反社関係性の調査 |
|
| ⑤ | 訴訟歴調査 民事訴訟記録の有無確認・閲覧(原告・被告いずれの立場も対象) |
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| ⑥ | 債務者実態調査 経営法人の有無・生活状況の調査 |
|
| ⑦ | 不動産抽出調査 | |
なお、外部調査機関に依頼する際は、記事検索や公的データベースで確認できる基本情報をあらかじめ整理しておくと、依頼内容がより具体的に伝えられる場合があります。ただし、取材などの深掘り調査はご自身で進めず、外部機関にお任せいただくことをおすすめします。
自社チェックでは見つからなかった事例
自社での一次調査では問題なしと判断されたにもかかわらず、トクチョーによる調査で初めてリスクが発覚するケースは少なくありません。ネット上の記事検索や公的データベースだけでは表面的な情報しか得られず、取材や人的ネットワークを通じた深掘りがなければ見えてこないリスクが存在するからです。
実際の取引先調査で問題が判明した事例をいくつかご紹介します。
事例①:
記事検索では発見できなかったが、経歴を辿っていくと、反社会的勢力と近しい人物が関与する法人で役員として登記されていたことが判明した。
事例②:
社内では「反社との関連なし」と判断したが、過去に反社会的勢力と関係を有していたという情報が得られ、慎重な取引対応が必要な状況となった。
事例③:
自社チェックでは問題なしと判断したが、取引先周辺への取材で悪評が聞かれ、レピュテーション(風評)面での課題が露呈した。
事例④:
取引先代表者の反社疑惑を聞き調査したところ、自社に取引を切り替えさせる意図を含んだ、不正確な情報提供であったことが判明した。
事例④のように、外部調査はネガティブ情報の真偽確認としても機能します。
事例④「取引先代表者調査」の詳細はこちら >【採用・人事調査】コンプライアンスチェックシートの項目

採用・人事調査においては、対象者の役職や責任の重さによってチェックの深度は異なります。また、採用調査では「ネガティブ情報を調べる」だけでなく、応募者の質をより深く知ることで人材の適材適所への配置を可能とする、ポジティブな調査という側面も持ちます。
一般職採用と役員・幹部候補採用に分けて、それぞれのチェック項目と実際の事例を解説します。
一般職採用時のチェック項目
採用調査では、主に公開情報からリスクを抽出する「リスク・スクリーニング」が活用されます。対象者に露見するリスクがなく実施できる点も、この調査方法の特長です。
主なチェック項目と調査方法は以下の通りです。
| 調査方法/チェック項目 | ||
|---|---|---|
| ① | 新聞・雑誌記事データベース 新聞・雑誌・週刊誌・業界紙等の記事検索 反社会的勢力や悪質な事件への関与・犯罪歴(報道されたもの)などの把握 |
|
| ② | 登記情報 不動産および法人の登記情報の取得 保有不動産・担保設定の有無、隠れた会社経営・役員登記の有無などの把握 |
|
| ③ | 官報 官報掲載情報の検索 自己破産・帰化・叙位叙勲・各種国家資格の取得状況などの把握 |
|
| ④ | Web(インターネット) インタビュー記事・ブログ・匿名掲示板への書き込み等、本人に関する情報収集 危険思想への傾倒・不適切な言動・過去のトラブルに関する書き込みなどの把握 |
|
| ⑤ | SNS・口コミ Facebook・X(旧Twitter)・Instagram・LinkedIn等の発信状況を調査 不適切な発言・炎上リスク・公序良俗に反する挙動などの把握 |
|
近年、応募者がインターネット上のマニュアルを活用して内定を取る方法を心得ており、履歴・退職理由の虚偽申告者が増えているという実態があります。また、ハラスメントや労働問題、金銭トラブルを複数の職場で繰り返している人物も少なくありません。
トクチョーでは、年間5,000件以上の採用調査実績がありますが、調査結果で採否に影響するネガティブ情報が報告されるケースは約5~10%に上ります(当社調べ)。「問題のある応募者は稀(まれ)」という感覚は、実態と乖離している可能性があります。
役員・幹部候補採用時のチェック項目
役員・幹部候補の採用調査では、企業の意思決定に直接関与するポジションへの採用である以上、より踏み込んだ調査が必要です。そのため、一般職の内容に加えて以下の項目を調査で確認します。
▼追加のチェック項目
- ・申告内容の裏付け
- ・実際の勤務状況
- ・管理者としての評価・評判の収集
- ・ハラスメント等のトラブル
- ・ネガティブ情報の抽出 等
実際、国立大学卒・外資系企業役員歴任と記載した役員候補者をトクチョーが調査したところ、学歴詐称・在籍の裏付けなし・過去勤務先でのパワーハラスメント・経費不正利用・弁護士介入の末に退職していた事実が判明しました。
「経歴だけ見れば即戦力」でも、調査で全く異なる事実が出るケースの典型例です。
外部調査機関が確認する項目(トクチョーの場合)
トクチョーでは、採用調査とは別に、対象者の経歴・評判・生活状況などをより広く調査する人物調査も行なっております。
調査は、関係先への取材・聞き込みと、独自データベースや公知情報との照合を組み合わせて実施します。また、判明する情報の例としては、勤務先・職歴・退職理由、学歴、破産歴、交友関係・社会的評判などが挙げられます。
採用調査が「採用判断のためのリスク把握」に特化しているのに対し、人物調査は「対象者の人物像を多角的に把握する」という、やや広い目的で使われるサービスという位置づけです。
なお、人物調査は採用候補者だけでなく、在籍中の社員を対象に実施されるケースもあり、社内不正の実態解明につながることもあります。
関連記事:社内不正の調査方法や発生時の対応方法は?よくある事例や調査フローについて
自社チェックでは見つからなかった事例
採用における自社チェックの限界も、取引先調査と同様です。以下に、トクチョーの調査で初めて発覚した事例をいくつかご紹介します。
一般職での事例:
過去に労務問題を起こし、外部のユニオンに駆け込んだことがある人物であることが、過去の勤務先への取材で判明した。
役員・幹部候補での事例:
前職では取締役と申告していたが、前職の法人登記情報に記載がなく、詐称が判明した。
共通する事例:
・依頼者に申告していない企業での役員登記や、自身での起業歴が判明した(過去・現在問わず)。
・過去の勤務先への取材で、ハラスメントや横領の事実が判明した。
・破産歴や不動産の差し押さえが発覚した。
・履歴書には「トップセールス」と記載されていたが、実際は成績不振で解雇されていた。
チェックシートの自社運用に潜むリスク

自社でコンプライアンスチェックシートを運用する際、注意すべき点がいくつかあります。ここでは、代表的な4つのポイントをご紹介します。
【コンプライアンスチェックシート運用時の注意点】
1. 情報の見落とし
2. 主観的な判断
3. 客観性の欠如
4. 法律違反リスク
1. 情報の見落とし
自社での調査は主にインターネット検索に頼ることが多く、情報の網羅性に欠けるという大きなリスクがあります。専門機関が持つ非公開のデータベースにはアクセスできないため、ネットから削除された不祥事の記録や、巧妙に隠された反社会的勢力との関係を見逃してしまう可能性が高まります。
2. 主観的な判断
「どこまで調べれば合格か」「どの程度の情報があれば取引停止・不採用にすべきか」という判断基準が担当者の主観に依存しがちです。担当者によって調査の質にばらつきが生じ、本来排除すべきリスクを見逃したり、逆に過剰な懸念で有益な取引や人材を失ったりする恐れがあります。
3. 客観性の欠如
万が一、取引先や従業員がトラブルを起こし、自社の善管注意義務(管理者としての責任)が問われた際、自社のみの調査結果では「十分な調査を尽くした」とみなされないケースがあります。第三者機関による客観的な調査報告書がないことで、株主代表訴訟や行政指導に対して十分な防御が難しくなる恐れがあります。
4. 法律違反リスク
自社の担当者が不慣れな状態で深掘り調査を行うと、知らないうちに収集が禁止されている思想や信条、出生地などの個人情報に触れてしまう危険があります。不適切な個人情報の扱いは、個人情報保護法・職業安定法違反に問われ、逆に企業側が訴えられるリスクにつながります。
採用・人事調査を実施する際は、特に気をつけなければなりません。公開情報の範囲内での調査であれば、対象者に露見するリスクなく実施可能ですが、それ以上の深掘りを検討する際は、専門の調査会社への相談が安全です。
チェックシートがうまく機能していないケース
「チェックシートを整備しているのに、後から問題が発覚した」という企業が、トクチョーに相談にいらっしゃるケースは多々あります。
そのような企業で最も多い課題は、簡易的な記事検索やリファレンスチェックに終始しており、深掘り調査や取材を絡めた調査ができていないため、真相が見えてこないというパターンです。チェックシートの「項目を埋めること」が目的化してしまい、実態の把握に至っていないのです。
また、担当者任せ・基準があいまい・更新されないといった運用上の課題も、形骸化を招く要因となります。ツールの数や調査手順の精度は、専門会社には及ばない部分があることも念頭に置く必要があります。
チェックシートを活かすための運用ポイント
チェックシートを形骸化させず、実効性のある運用を続けるためにはどうすればよいのでしょうか。押さえておきたい運用上のポイントを解説します。
【チェックシートを活かすための運用ポイント】
・チェックシートは「1次スクリーニング」として位置づける。
・外部調査機関に依頼すると運用リスクを補完できる。
・定期的な見直しと更新も必要。
1.チェックシートは「1次スクリーニング」として位置づける
コンプライアンスチェックシートの意義は、懸念点の早期発見と、外部調査依頼時の情報整理にあります。自社でまず情報を集めておけば、外部調査機関に依頼する際、懸念点にフォーカスした深い調査をお願いすることができます。
重要なのは、チェックシートはあくまで1次スクリーニングであるという位置づけです。1次スクリーニングをクリアした場合でも、ビジネスインパクトが大きい取引先や重要採用人物については、外部調査機関の活用を検討することが望ましいといえます。
2.外部調査機関に依頼すると運用リスクを補完できる
上述した自社運用のリスクを補完できることが、外部調査機関を活用する最大のメリットです。専門機関が保有する独自データベースや取材力によって調査精度が高まるほか、社内リソースを本来の業務に集中させることもできます。
さらに、第三者による調査レポートは、万が一不祥事が発生した際に「適切な調査を尽くした」証拠としても機能し、企業の善管注意義務を果たした根拠にもなります。
3.定期的な見直しと更新も必要
コンプライアンス対策は、一度仕組みを作れば完了ではありません。法改正・社会情勢の変化・自社の事業内容に合わせて、PDCAサイクルを回し続けることが必要です。
チェックシートの項目や判断基準も、定期的に見直す習慣をつけましょう。
トクチョーのコンプライアンスチェックについて
近年一般化しているコンプライアンスチェックは、ネット情報をもとにした機械的な調査が主流になっています。
私たち総合調査会社トクチョーは、暴力団排除が社会通念となる以前の1990年代初頭から蓄積してきた情報量と独自の情報網を活かし、実態に即した精度の高いチェックを実施しています。表面的な情報にとどまらず、取材等を通して、背景や関係性まで踏み込んだ調査が可能です。
他社で調査を実施したものの不安が拭い切れない場合のセカンドオピニオンとしての活用実績もあり、公的機関からトクチョーを推薦いただくケースもあります。
また、IPO準備やM&Aなど、企業にとって重要な局面での外部調査依頼にも多数対応しており、証券取引所・財務局への提出実績も豊富です。
コンプライアンスチェックに関するお悩みや、取引先・採用候補者に潜むリスクへの不安がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
総合調査会社トクチョーで「価値ある情報」を
株式会社トクチョーは、60年以上続く総合調査会社です。豊富な経験と、長年の実績で培った調査力で、上場企業から中小企業・スタートアップまで、幅広くお客様のご要望にお応えしてまいります。
- ・反社会的勢力対策
- ・人材採用
- ・企業間取引(デューデリジェンス)
- ・上場準備(IPO)
- ・Web風評被害対策
- ・社内リスク対策 等
「こういう点を深掘りしてほしい」といった細かなご要望や、弁護士や外部専門家が関与するケースにも柔軟に対応できます。インターネットのみで完結する簡易的な調査ではなく、取材等からより深い情報収集が可能ですので、フォームまたはお電話にて、お気軽にご相談ください。
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